「高校生だけでホテルに泊まりたい」。部活の遠征、受験、友達との旅行——理由はいろいろありますが、そもそも泊まれるのか、何が必要なのかがはっきりしないまま予約に進むと、当日フロントで断られることがあります。
この記事では、法令とホテルの公式ルールを一次情報で確認したうえで、正しく泊まるために必要なものを整理します。
- 泊まれます。ただし保護者の同意が前提です
- 法律に「未成年だから泊まれない」という規定はありません(旅館業法)
- ただし18歳未満の契約には保護者の同意が必要(民法)。多くのホテルが同意書を求めます
- さらに深夜(23時〜翌4時)は条例が関わります。保護者の同意なく青少年をとどめることは禁じられています
- 18歳なら民法上は成年ですが、ホテルが「高校生以下」で線を引いていることがあります
※「親に内緒で泊まる」方法はありません。同意書か、保護者への確認電話のどちらかは必ず発生します。
法律ではどうなっている?3つのルールが関わります

「未成年の宿泊」には、性質の違う3つのルールが同時に関わります。ここを分けて考えると、必要なものがはっきりします。
| ルール | 関係するところ |
|---|---|
| 旅館業法 | ホテルが宿泊を断れる理由。年齢は入っていない |
| 民法 | 18歳未満の契約には保護者の同意が必要 → 同意書の根拠 |
| 青少年保護育成条例 | 深夜(23時〜翌4時)の扱い。都道府県ごとに違う |
旅館業法:年齢を理由に断る規定はない
まず大前提として、旅館業法には「未成年だけの宿泊を禁止する」条文はありません。
むしろ旅館業法第5条は、ホテル側が宿泊を断れる場合を限定的に列挙しています。そこに挙げられているのは次の4つです。
- 宿泊しようとする者が特定感染症の患者等であるとき
- 賭博その他の違法行為又は風紀を乱す行為をするおそれがあると認められるとき
- 過重な要求を繰り返したとき(厚生労働省令で定めるもの)
- 宿泊施設に余裕がないとき、その他都道府県が条例で定める事由があるとき
年齢はどこにも出てきません。「高校生だから」という理由だけで一律に断ることは、法律が想定しているかたちではないということです。
ただし注意したいのが4号の「都道府県が条例で定める事由」です。ここから、次に出てくる条例の話につながります。
出典:旅館業法(e-Gov法令検索)(2026年8月22日確認)
民法:18歳未満の契約には保護者の同意がいる
宿泊は「宿泊契約」を結ぶ行為です。そして民法第5条により、未成年者が契約をするには法定代理人(=保護者)の同意が必要とされています。
これが同意書を求められる理由です。ホテルが意地悪をしているのではなく、同意のない契約は後から取り消される可能性があるためです。
民法第4条は「年齢十八歳をもって、成年とする。」と定めています。2022年4月1日から施行された内容です。
つまり18歳の高校3年生は、民法上はもう成年です。理屈のうえでは、保護者の同意なしに宿泊契約を結べます。
ただしホテル側のルールは別です。次の章で説明しますが、「高校生以下」で線を引いている宿もあります。18歳でも同意書を求められることがあると考えておいてください。
出典:民法(e-Gov法令検索)(2026年8月22日確認)
青少年保護育成条例:深夜は別の話になる
ここがいちばん見落とされがちな部分です。各都道府県には青少年の保護育成に関する条例があり、深夜の扱いを定めています。
東京都の場合、警視庁が条例の概要を次のように説明しています。
| 「深夜」とは | 午後11時から翌日の午前4時まで |
|---|---|
| 禁止されていること | 何人も、保護者の同意なく、又は正当な理由なく、深夜に青少年を連れ出し、同伴し、とどめてはいけない |
| 罰則 | 16歳未満の青少年に上記の行為を行った場合は、30万円以下の罰金 |
宿泊は当然、深夜の時間帯をまたぎます。保護者の同意があるかどうかが、条例の観点でも決定的に効いてくるということです。
条例の内容は都道府県ごとに違います。深夜の定義や対象年齢が異なる場合があるので、泊まる地域の条例を確認してください。上に挙げたのは東京都の例です。
実際のホテルはどう運用しているか

法律の枠組みを踏まえて、ホテル各社は自社のルールとして「同意書」を用意しています。公式サイトで確認できた例を挙げます。
| ホテル | 公式サイトに書かれている内容 |
|---|---|
| BBHホテルグループ | 未成年(18歳未満または高校生以下)のみの宿泊は、親権者の同意書の提出が必要。同意書は持参し、チェックイン時にフロントへ渡す。中学・高校を卒業後でも、同年3月31日までは中学生・高校生として扱う |
| アパホテル | 公式サイトに「未成年者宿泊に対する同意書(PDF)」が用意されている |
ここで注目してほしいのが、BBHホテルグループの「18歳未満または高校生以下」という書き方です。
民法上は18歳で成年になりますが、このホテルでは18歳の高校生も同意書の対象になります。さらに卒業後の3月であっても、3月31日までは高校生扱いです。
つまり「18歳になったから同意書はいらない」とは限りません。泊まる宿の公式サイトを必ず確認してください。
予約から当日までにやること
- ホテルの公式サイトで未成年のルールを確認する
「未成年」「同意書」で検索するか、よくある質問を見ます。同意書のPDFが用意されていることが多いです - 予約前にホテルへ電話で確認する
「◯月◯日に高校生◯名だけで泊まりたい」と伝えます。予約してから断られるのを防げます - 同意書を保護者に書いてもらう
ホテル指定の様式をダウンロードして印刷します。保護者の署名と連絡先が必要です - 当日は同意書と身分証を持っていく
学生証や健康保険証など、年齢と本人が分かるものです - 保護者はチェックイン時間帯に連絡が取れるようにしておく
ホテルから確認の電話が入ることがあります
いちばん確実なのは2番の電話です。ルールはホテルごとに違ううえ、同じチェーンでも店舗によって運用が異なることがあります。
よくある質問
親に内緒で泊まることはできますか?
できません。ここまで見てきたとおり、同意書か保護者への確認電話のどちらかが必ず発生します。
仮に手続きを回避できたとしても、条例上は「保護者の同意なく深夜に青少年をとどめる」ことが問題になります。ホテル側にとってもリスクなので、確認を省く宿はまずありません。
18歳なら同意書はいりませんか?
ホテルによります。民法上は18歳で成年ですが、上で見たように「高校生以下」で線を引いている宿があります。
高校3年生で18歳になっている場合は、予約前の確認がとくに大事です。
中学生だけでも泊まれますか?
ホテルによっては受け付けていますが、高校生よりも条件が厳しくなります。
とくに東京都の例では、16歳未満に対して保護者の同意なく深夜にとどめた場合は30万円以下の罰金という罰則があります。ホテル側が慎重になるのは当然で、断られることも珍しくありません。必ず事前に電話で確認してください。
同意書はどこでもらえますか?
多くはホテルの公式サイトでPDFが配布されています。BBHホテルグループもアパホテルも、公式サイト上に同意書のPDFを置いています。
見つからない場合は、電話で「同意書の様式はありますか」と聞けば案内してもらえます。
なぜホテルは断ることがあるのですか?
旅館業法は「みだりに宿泊を拒むことがないように」とも定めていて、ホテルは自由に断れるわけではありません。
それでも慎重になるのは、条例上の責任と、未成年者との契約が後から取り消されうるという民法上の事情があるためです。同意書を出せば、その両方が解消されます。だから同意書さえ用意すれば、話はスムーズに進みます。
未成年でも泊まれる宿を探すには
じゃらんnetや楽天トラベルでは、宿ごとのページに宿泊条件や問い合わせ先が載っています。未成年のルールがそこに書かれている宿もあります。
予約してから断られるのを避けるため、候補をいくつか出して、それぞれの公式サイトと電話で確認するのが確実です。
- 法令は旅館業法・民法(いずれもe-Gov法令検索)、条例は警視庁「東京都青少年の健全な育成に関する条例の概要」を2026年8月22日に確認しました
- ホテルの運用は、BBHホテルグループ・アパホテルの各公式サイトを同日に確認したものです
- 青少年保護育成条例は都道府県ごとに内容が異なります。本記事に挙げたのは東京都の例です。宿泊先の地域の条例をご確認ください
- 宿泊の可否や必要書類は宿泊施設ごとに定められています。最終的な判断は各施設によります。必ず予約前に直接ご確認ください
- この記事は一般的な情報の整理であり、個別の事案についての法的助言ではありません


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