出張や帰省で、赤ちゃんを連れてビジネスホテルに泊まる。夜泣きしたら周りに迷惑では、そもそも受け入れてもらえるのか——気になって当然です。ただ「迷惑かどうか」は気持ちの話で、宿泊できるかどうかは法令と施設のルールの話です。分けて考えると判断が早くなります。
そして気持ちのほうも、事前に伝えておけば減らせる部分が大きいのが実際のところです。何を伝えればいいのかまで含めて、根拠のあるところから順に見ていきます。
この記事は、旅館業法・同施行令と、国が示すモデル宿泊約款を確認し、書かれているとおりにまとめたものです。
旅館業法5条は「次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、宿泊を拒んではならない」と定めていて、乳幼児連れはその各号に入っていません。同条2項は、営業者に「みだりに宿泊を拒むことがないように」とも求めています。
実際に確認が要るのは定員・寝具・料金の3つだけです。子供料金の考え方は、モデル宿泊約款の別表第1 備考2に示されています。
そして「迷惑」を減らす一番の方法は、予約時に人数と月齢を伝えておくこと。部屋の位置などで配慮してもらえることがあります。
「子連れだから断る」は法令の想定にない
まず前提を確認します。旅館業法は、宿泊を拒める場合を限定的に列挙しています。
営業者は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、宿泊を拒んではならない。
旅館業法 第5条第1項

列挙されているのは、特定感染症の患者等であるとき、賭博その他の違法行為や風紀を乱す行為をするおそれがあると認められるとき、過重な要求を繰り返したとき、宿泊施設に余裕がないときなどです。「乳幼児を連れている」は、この中にありません。さらに同条2項は次のように定めています。
営業者は、旅館業の公共性を踏まえ、かつ、宿泊しようとする者の状況等に配慮して、みだりに宿泊を拒むことがないようにする(略)
旅館業法 第5条第2項
「公共性を踏まえ」という言葉が入っている点が重要です。宿泊業は誰でも泊まれることを前提にした事業であり、断るには法律が挙げた理由が要る——という立て付けになっています。
つまり気兼ねする必要がある話ではありません。ただし「余裕がないとき」は拒否理由に入っているので、定員や設備の条件は満たす必要があります。ここは気持ちではなく事実の確認です。
実際に確認が必要なのは3つだけ
不安の中身を分解すると、確認すべき項目は次の3つに収まります。どれも予約前に分かることです。

| 確認すること | 根拠・見る場所 |
|---|---|
| 定員に入るか | 客室には面積の基準があり(施行令1条)、施設が部屋ごとに定員を定めている。乳幼児を人数に数えるかは施設ごと |
| 寝具をどうするか | ベビーベッドの貸出台数・対象月齢。添い寝にするなら寝床の条件を確認する |
| 料金の数え方 | 約款 別表第1 備考2=大人に準じる食事と寝具70%/子供用50%/寝具のみ30%。寝具も食事もない幼児の欄は空欄(施設が設定) |
ベビーベッドは台数が限られていることが多く、先着で埋まります。「ある施設を選ぶ」だけでは足りず、その日に空いているかまで押さえる必要がある——ここが見落とされやすいところです。
この3つを予約時に伝えておけば、当日フロントで揉めることはまずありません。逆に伝えていない人数が当日に増えるのがいちばん困る形です(この点は定員の記事で扱っています)。
夜泣きが心配なときにできること
音の問題は、施設側でできる配慮と、選び方でできる工夫があります。いずれも伝えていなければ始まりません。フロントは当日になって知らされるより、事前に分かっているほうが動けます。
まず予約の備考欄に「乳児同伴」と書いておくこと。これだけで、隣室との位置関係を見て部屋を割り振ってもらえることがあります。角部屋やエレベーター近くなど、隣接する客室が少ない位置を希望として添えるのも有効です。
施設選びの段階では、和室や畳のある部屋があるところ、ファミリー向けプランを用意しているところが候補になります。畳の部屋は、寝返りが始まった時期の子には落下の心配が減るという実用的な利点もあります。ビジネスホテルでも「子連れ歓迎」を明示している施設は探せば見つかります。
なお、宿泊客が館内で守るべきことは施設が掲示する利用規則で決まります(モデル宿泊約款10条)。ベビーカーの置き場所や大浴場の利用可否も、そこに書かれていることが多い項目です。
よくある質問
この記事の出典
※受け入れ条件・料金は施設ごとに異なります。本記事は個別施設の対応を実測したものではありません。


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