長期の滞在になると、毎食を外で買うのは高くつきます。「部屋で少しくらい作れないか」と考えるところですが、客室で何をしていいかは、施設が決めたルールで線が引かれています。まずその線がどこにあるのかを確認します。
1泊なら気にならなくても、1週間の出張なら食費は数万円になります。だからこそ「どこまでなら大丈夫か」を正確に知っておく価値があります。
この記事は、国が示すモデル宿泊約款を確認し、書かれているとおりにまとめたものです。個別施設の可否を調べたものではありません。
客室でしていいことは施設が掲示する利用規則で決まります(約款10条)。全国共通のルールはありません。
ただし火を使う調理は基本的に想定されていません。約款7条1項は火災予防上必要な禁止事項に従わないとき、施設が契約を解除できると定めています。設備を汚したり傷めたりすれば、約款18条により賠償の対象にもなりえます。
本気で自炊したいなら、キッチン付きの宿を選ぶのが正解です。予約ページの設備欄に書かれているので、条件で絞り込めます。
キッチン付きの部屋は、条件で絞り込めます。
線を引いているのは「利用規則」
客室でしてよいことの根拠は、国のモデル宿泊約款ではこの一文に集約されています。
宿泊客は、当ホテル(館)内においては、当ホテル(館)が定めてホテル(館)内に掲示した利用規則に従っていただきます。
観光庁 モデル宿泊約款 第10条
つまり「自炊していいか」は法律ではなく、その施設の利用規則を見ないと分からないということです。客室の案内(サービスディレクトリー)や扉の裏の掲示に書かれています。
そして火気については、約款が別の角度からも触れています。7条1項は、施設が宿泊契約を解除できる場合として「寝室での寝たばこ、消防用設備等に対するいたずら、その他当ホテル(館)が定める利用規則の禁止事項(火災予防上必要なものに限る。)に従わないとき」を挙げています。
持ち込みのコンロや調理器具は、ここに触れる可能性が高い部類です。解除されれば、その場で部屋を出ることになります。夜中にそうなる事態を考えれば、割に合う節約ではありません。
現実的にできること・できないこと
「自炊」と一口に言っても、幅があります。段階ごとに整理すると、線がどこにあるかが見えてきます。

| やり方 | 考え方 |
|---|---|
| 備え付けの電気ケトルでお湯を沸かす | 施設が置いている設備なので、想定された使い方の範囲。ただしお湯を沸かす以外の用途(中で食品を煮るなど)は器具を傷める |
| カップ麺・レトルトを湯で戻す | においと処分が問題になりやすい。ごみの扱いは施設の案内に従う |
| 電子レンジで温める | 客室にないことが多い。共用スペースやコンビニを使う(電子レンジの記事) |
| 持ち込みのコンロ・調理家電を使う | 火災予防の観点から禁止されているのが通常。約款7条1項の対象になりうる |
| キッチン付きの宿に泊まる | いちばん確実。コンドミニアム型・レジデンス型・一部の旅館などにある |
意外と見落とされるのが、電気ケトルの中で食品を温める使い方です。レトルトのパウチを袋ごと入れる、という方法が紹介されていることがありますが、内側に成分が残れば次の宿泊者にも影響します。器具を傷める行為でもあり、約款18条の対象になりえます。
なお、においや汚れで客室に損害が出た場合も同じです。カレーや魚のにおいは、次の清掃で落ちきらないことがあります。「バレなければ」ではなく「後始末まで含めて自分で持てるか」で判断してください。
食費を抑えたいだけなら、別の手がある
そもそも目的が「食費を抑える」なら、部屋で調理する以外にも手はあります。しかもこちらのほうが確実です。

まず朝食なしのプランにすること。モデル宿泊約款の別表第1では、基本宿泊料は「室料」または「室料+朝食等の飲食料」と定義されています。つまり朝食は、料金から外せる要素としてはっきり位置づけられているわけです。近くのコンビニやチェーン店を使えば、差額はそのまま浮きます。
次に連泊にすること。約款9条1項により、連泊時は到着日と出発日を除き客室を終日使用できます。荷物を出し入れする手間が減り、買ってきたものを部屋に置いたまま動けます。
そして長期滞在なら、キッチン付き・コインランドリー付きの宿を最初から選ぶのがいちばん効きます。1泊あたりの単価は上がっても、食事と洗濯の費用を合算すれば逆転することが多いところです。あわせて、周辺のスーパーや惣菜店の営業時間を先に調べておくと、滞在中の食事が読めます。
宿泊費そのものを下げる方法は安く泊まる方法の記事にまとめています。
よくある質問
この記事の出典
※客室での調理の可否は施設ごとに異なります。必ず宿泊先の利用規則を確認してください。


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